スランプのときに、自分で自分を励ましても、効果があるとはかぎらない。このあたりも、うつ病と似ているところである。「実際にやってみる」ということが大切なのも共通している。たとえば「一日三時間なんて、オレにはやっぱりできない」と思うなら、四十分だけでいいからやってみる。四十分でも、不安で勉強に手がつかないでいるより、はるかにマシだ。四十分やってみて、「なんとかできるじゃないか」となれば、シメたものだ。「認知行動療法」では、できそうなことからやらせる、という考え方もする。プロ野球の一流投手でも、最初のストライクが入るまでは、不安でしょうがないのだ。しかし、ストライクを取れると、不安や緊張がほぐれて自分を取り戻せるという。だから、できるだけ簡単なことからスタートして、「デキる」ことを実感させるようにする。たとえば、「頭の悪いオレには、数学なんてデキっこない」という不安にとりつかれているなら、教科書の例題だけを解き直してみたり、計算練習をやってみたりするといいだろう。英語にしても、いきなりむずかしいことをやろうとせず、たとえば高校入試レベルの長文を、もう一度読み直してみるといい。大学受験勉強では、「できることから手をつける」というのは、「基礎体力」を養うことにも直結するので、やって損をすることは絶対にない。「基礎体力」がしっかりしてくれば、大学受験勉強はもっと効率的に進む。認知行動療法的アプローチには、スランプ脱出法に、大学受験勉強の効率化に、一石二鳥の効用があるのだ。