化粧品成分が皮膚に浸透する?

2011-07-08

僕には昔から確認したいことがありました。大メーカーが「実験の結果、その効能が証明された」という表現についてです。皮膚に塗布した結果、(1)その成分が実際に皮膚に浸透して皮膚内部の組織を活性化したのか。(2)皮膚の内部組織を切り取って試験管に入れ、そこにエキスの溶液を滴下した結果にすぎないのか。という素朴な疑問です。皮膚にバリアがある以上、これら化粧品成分が皮膚に浸透するはずはありません。だから、結論は(2)に決まっています。とは思うものの、「まさか大企業の研究がそんなにいいかげんであろうはずがない」という常識がかすかに頭をよぎります。こうして今まで「そんな実験、インチキじゃないか!」と露骨に書くことをためらってきたのです。効能成分を皮膚に浸透させるには、美容に重要な皮膚のバリア機能をこわさなければなりません。これは美容上ゆゆしき問題です。果たして事実はどうなのでしょうか。化粧品メーカーにとって、「効能成分がどのようにして皮膚に浸透するのか」と聞かれるほど嫌な質問はありますまい。すべての化粧品メーカーにとって、この点についてはさりげなくとぼけて済ませたいにちがいありません。宣伝や広告をよく見て、よく聞き、よくご覧ください。「合成界面活性剤を使って」などとはどのメーカーも一切ふれていません。
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たまににわか勉強のメーカーが「石油系の界面活性剤は使っておりません」などと、いわずもがなの宣伝をするので、「やっぱり合成界面活性剤(今は石油系は少ない)で皮膚のバリアをこわして浸透させているのじゃないか!」って馬脚を現すのです。しかし、海外向けに宣伝する場合、特にアメリカ向けの場合に有効成分と示して効能を宣伝することは危険です。もし宣伝と実際に矛盾がある、またはシワの薄くなった理由が、皮膚が健康になったのではなく、水の注入によって皮膚を膨張させたにすぎなかった、などと知られたら訴訟を起こされる恐れがあります。何しろ、ぬれた猫を電子レンジで乾燥させたら死んでしまったといって、「説明書にそんな注意は書いてなかったじゃないの!」と数億円の訴訟をした女性のいる国なのですから。宣伝にもおのずと強い規制をかけます。その自制といいますか、念のための断りがこれから説明する「イン・ビトロ」という言葉なのです。江戸時代に『ビードロを吹く女』という題の浮世絵がありましたね。ビードロとは、息を吹き込むと音をたてるガラスのおもちゃです。少し発音が違いますが、ビトロもガラスのことを指します。イン・ビトロとは、正式には「テスト・イン・ビトロ」のことで、「試験管の実験では」という意味です。要するに、「あなたの肌に実際に効くかどうか保障はできません」という意味、はっきりいえば、あてにならない実験だという意味です。
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