ジュースをはじめ、ポン酢、缶チューハイなどで日本各地に広まっているのが沖縄の名産品「シークワーサー」である。沖縄県でシークワーサーを加工・販売している勝山シークワーサーによると、シークワーサーが有名になったのは、果実に含まれる、フラボノイドの一種であるノビレチンという成分にガン抑制効果や血糖値抑制効果などがあることが判明し、平成十二年頃からマスコミに取り上げられるようになったのがきっかけだという。そして平成十九年には、加工用のシークワーサーが県内全体で三五〇〇トン生産されるまでに成長した。そのため、消費者が混乱を招かないように、現在では「シークワーサー」と表記統一されるようになったが、それまではこの果実の呼び名はシークワーシャー、シークアーサーとさまざまであった。また、シークワーサーという呼称は、沖縄の言葉で「シー」は「酸」、「クワーサー」は「食わせるもの」である。つまり、「シークワーサー」には「酸を食わせるもの」という意味がある。さらに、「酸を食わせるもの」のルーツを探ると、芭蕉布という、沖縄の伝統織物に行き着く。この芭蕉布は、着物、帯、ネクタイ、袋物、テーブルクロスなどで人気の工芸品で、サラリとした心地良い肌触りが特徴だ。しかし、織り上げたときは少々固い状態なので、その繊維を柔らかくするために特定の果汁を利用する習慣があった。浸していた果汁は「布に酸を食わすもの」と呼ばれ、シークワーサーとの名がついたというわけだ。